入札説明会と質問書の出し方|仕様書への質問と「回答」の読み方を実例で解説
国や自治体の入札・プロポーザルの公告を見ると、「入札説明会」「質問書の提出期限」「回答の閲覧」といった言葉が並んでいます。初めての方には、説明会に行かないといけないのか、質問をしてもよいのか、回答はどこで見るのか、と迷うところです。
この記事では、Web制作・広報・調査・印刷などの小さな会社やフリーランスの方に向けて、
- 入札説明会の位置づけ(参加は任意か必須か、資料はどこで受け取るか)
- 仕様書等への質問書の期限・様式・出し方(メール/電子調達システム)
- 回答がどう公開されるか、どう読むか
- 質問のしかたの注意点と、見落としがちな点
を、実際の入札説明書・実施要領の書き方を引きながらまとめます。
※この記事は一般的な解説です。決まりは案件ごとに違うため、必ずその案件の公告・入札説明書を確認してください。
1. 入札説明会とは:参加は任意か、必須か
入札説明会は、発注機関が業務の趣旨や内容、日程などを参加希望者に説明する場です。ただし、すべての案件で開かれるわけではありません。農林水産省近畿農政局の案内では、入札説明会を開く場合は物件説明のほか入札心得も説明すること、また説明会を開かない場合も入札説明書等を交付することが書かれています。
参加が任意か必須かは、案件ごとに決まります。
- 金融庁の企画競争の公告(令和8年2月24日)では、「説明会への参加は任意とする。」と明記され、Web会議で開催、申込はメールで、1者あたり2名まで、とされています。
- 情報通信研究機構(NICT)の入札Q&Aでは、説明会に参加しなくても仕様書と質疑応答で内容を把握できれば応札できるとしつつ、「入札説明会への参加が必須」とされている案件もあるので入札説明書を確認するよう案内しています。
つまり、「任意」と書かれていれば欠席しても参加資格には影響しませんが、必須の案件もあるため、公告と入札説明書の「説明会」の項目を最初に確認するのが基本です。
資料の受け取り方も確認しておきましょう。中国経済産業局の入札公告(令和8年4月21日)では、説明会はMicrosoft Teamsで行い、資料は紙で配らず、調達ポータルと同局ホームページからダウンロードして各自で用意する形です。また近畿農政局の案内には、説明会の説明事項に訂正がある場合は「入札説明会に出席された方にお知らせします」とあります。説明会に出るかどうかで届く連絡が変わることがあるので、欠席する場合も、訂正や追加の情報がどこに出るかは確かめておきましょう。
2. 質問書の出し方:期限・様式・方法
仕様書や入札説明書を読んで分からない点があれば、決められた期間内に質問できます。押さえるのは次の3点です。
- 期限:「○月○日○時まで」と時刻まで決まっています。甲府市の実施要項のように、期限後の質問は受け付けないと明記する例もあります。
- 様式:指定の「質問書」様式を使う例が一般的です。中部地方整備局や北陸地方整備局は、仕様書等に対する質問書の様式をホームページに掲載し、「入札説明書記載の提出方法にて提出期限までに提出」するよう案内しています。質問がなければ提出は不要です。
- 方法:メール、または政府電子調達システムなどの電子調達システムです。どちらが使えるかは案件で違い、システムでの質問を認めない案件もあります。
メールで出す場合、件名の付け方や、送信後の電話での受信確認まで指定されることがあります。読み飛ばさないようにしましょう。
3. 実際の入札説明書・要領の書き方
公開されている3件の例を比べます(内容は各資料の記載をまとめたものです)。
| 項目 | こども家庭庁(一般競争入札・総合評価) | 中国経済産業局(一般競争入札・総合評価) | 高岡市(公募型プロポーザル) |
|---|---|---|---|
| 件名 | 令和8年度社会総がかりで取り組むいじめ対策等に係る広報啓発事業 | 令和8年度省エネルギー促進に向けた広報事業 | 高岡市立図書館サービス等業務委託 |
| 説明会 | 入札説明書に記載なし | Teamsで開催、事前に連絡先を登録 | 要領に記載なし(業務説明資料をホームページで公開) |
| 質問の期限 | 令和8年7月24日18時まで | 令和8年5月8日17時まで | 令和7年9月5日午後5時まで |
| 質問の方法 | 政府電子調達システムの「質問回答」、またはメール(事前に電話連絡) | 様式1「質問状」をメールで提出。電子調達システムでの質問は不可 | 「質問書」をメールで提出し、送信後に電話で受信確認 |
| 回答の公開 | 回答を閲覧に供する。システムで出した質問の回答はシステム上でも閲覧可 | (確認した範囲では記載を見つけられず) | 質問者の法人名を伏せて市ホームページで公表 |
こども家庭庁の入札説明書は、政府電子調達システムを「システム」と定め、システムとメールの両方の質問について、回答を担当課で閲覧に供すると書いています。中国経済産業局の公告は「電子調達システムを使用しての質問は不可とする」としており、同じ国の機関でも方法が違うことが分かります。高岡市の要領は、質問を企画提案書と仕様書等に関することに限り、「審査に関する事項」などは受け付けないと定めています。
4. 回答はどう公開されるか・どう読むか
確認した例では、質問への回答は質問した会社だけに個別に返すのではなく、参加を考えている人みんなが見られる形で公開されています。
- 京都府の公募型プロポーザル事務マニュアルは、「すべての質疑及び回答をホームページで公開する」とし、標準例では「個別には回答しない」としています。
- 中部地方整備局は、物品・役務の質問への回答を電子調達システムの調達資料ダウンロード機能(使えない場合は電子メール)で、入札説明書に書いた回答日時までに行うと案内しています。
- 甲府市のプロポーザル実施要項(令和7年11月)では、回答を市ホームページに随時掲載し、「質問のあった事業者名は公表しない」としています。
回答の読み方で大事なのは、回答も条件の一部として扱われる点です。高松市のガイドラインは、参加者は回答の内容を確認したうえで提案書を出さなければならず、提案書を出した者は回答を確認したものとして審査する、としています。NICTのQ&Aも、仕様書そのものは直さず質疑応答で補うことがあり、その内容にも対応が必要だと説明しています。
自社が質問していなくても、公開された回答はすべて読み、見積の前提(数量、納品物、スケジュールなど)が変わっていないかを確かめましょう。
5. 質問のしかたの注意点と、見落としがちな点
質問は他の参加者にも公開される前提で書きます。そのうえで、次の点に気をつけましょう。
- 会社名を書かない:中部地方整備局は、電子入札システムで質問するとき「ファイル名」「質問内容」に自社名を書いた場合などは入札に参加できない、と注意しています。会社が推測できる書き方も避けましょう。
- 具体的に書く:仕様書のページ・項目番号を示し、「何が分からないか」「どちらの解釈か」を1問ずつ書くと、回答も具体的になります。
- 聞ける範囲を確かめる:高岡市のように、審査に関する事項は受け付けないと定める例があります。
- 回答で仕様が変わるとは限らない:NICTのQ&Aは、参加者の求めに応じて仕様書を変えることはなく、誤記などが分かった場合に修正することがある、としています。
初めての方が見落としやすいのは、次のような点です。
- 説明会の申込期限:中国経済産業局の例では説明会の3日前、NICTのQ&Aでは原則前日17時までで、申込を忘れると当日参加できないとされています。
- 質問期限は提出期限より早い:こども家庭庁の例では、質問期限が書類の受領期限の1週間前です。読み込みを後回しにすると質問の機会を逃します。
- 資料のダウンロード期間:NICTは、公告のダウンロード期間を過ぎた資料には提供に応じていないとしています。
- 回答の掲載先:ホームページ、電子調達システム、窓口での閲覧など、案件ごとに違います。入札説明書で確認し、期限まで見直しましょう。
まとめ
- 入札説明会は開かれない案件もあり、参加を任意とする例がある一方、必須の案件もあります。最初に公告・入札説明書の「説明会」の項目を確認しましょう。
- 質問書は、指定の期限・様式・方法(メールか電子調達システムか)を守って出します。システムでの質問を認めない案件もあります。
- 確認した例では回答は他の参加者にも公開されており、回答の内容も条件の一部として扱われます。自社が質問していなくても必ず読みましょう。
- 質問には会社名を書かず、仕様書の該当箇所を示して具体的に書きます。
参考資料
- 農林水産省 近畿農政局「入札のあらまし」:https://www.maff.go.jp/kinki/soumu/kaikei/order/kyoso_annai.html
- 金融庁「企画競争に関する公告」(令和8年2月24日):https://www.fsa.go.jp/choutatu/choutatu_j/R8/20260224-2.pdf
- 情報通信研究機構「入札に関するQ&A」:https://www.nict.go.jp/tender/4otfsk000000jygu-att/QA-chotatsujoho(20150818).pdf
- 中国経済産業局 入札公告「令和8年度省エネルギー促進に向けた広報事業」:https://www.chugoku.meti.go.jp/r8fy/nyusatu/260421_2.pdf
- こども家庭庁 入札説明書「令和8年度社会総がかりで取り組むいじめ対策等に係る広報啓発事業」:https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1a8703ab-1712-4dcf-966a-0c6693ea52ad/73f28440/20260715_procurement_service-0c6693ea_02.pdf
- 高岡市「プロポーザルの実施に係る提案書の募集について」(高岡市立図書館サービス等業務委託):https://www.city.takaoka.toyama.jp/material/files/group/12/zissiyouryou_tosyokan.pdf
- 中部地方整備局「仕様書等に対する質問書(様式)」:https://www.cbr.mlit.go.jp/contract/buppin/siyousyo.htm
- 中部地方整備局「入札説明書に対する質問について」:https://www.cbr.mlit.go.jp/contract/shitsumon/index.htm
- 北陸地方整備局「仕様書等に対する質問書(様式)」:https://www.hrr.mlit.go.jp/keiyaku/koukoku/shitsumonsyo.html
- 京都府「公募型プロポーザル方式 事務マニュアル」(令和5年11月版):https://www.pref.kyoto.jp/shinchaku/nyusatsu/documents/231128propo.pdf
- 甲府市「県央ネットやまなし合同企業説明会業務 公募型プロポーザル実施要項」(令和7年11月):https://www.city.kofu.yamanashi.jp/rose/documents/2026yoko.pdf
- 高松市「プロポーザル方式実施ガイドライン」(令和7年4月1日施行):https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/jigyosha/nyusatsu/sections/proposal/index.files/propogaidorain.pdf
- 調達ポータル:https://www.p-portal.go.jp/
※この記事は一般的な解説です。個別の入札書類の作成・提出の代行は行っていません。必ず各発注機関の入札説明書・公告を確認してください。
※この記事は2026年11月時点で公開されている情報をもとに、AIがまとめたものです。引用した入札説明書等は掲載期限が過ぎると削除されることがあります。
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